1つのスピーカーでいろんな音が同時に出せるのは…なぜ?
そんなん、あたりまえやん! と言いたくなるけど、5歳児の素朴な疑問ですから。ニコニコしながら、わかりやすく解説したいです。でも、そういう基本的な質問は意外に答えるのが難しい。難問かも??
こんにちは、元半田ゴテ少年のshigeです。元オタクであり、黒歴史の大半が半田ゴテ少年期でした。今明かされるshigeのヒミツ… じゃなくて、スピーカーのお話です。
チコちゃんに叱られる!「電話のときウロウロするのは?・“旦那”と呼ぶ理由ほか」
NHK総合1
2019年10月18日(金) 午後7時57分~ 午後8時42分
2019年10月19日(土) 午前8:15~午前9:00【出演】岡村隆史,【ゲスト】戸田恵梨香,北村一輝
【リポーター】塚原愛,【声】木村祐一,【語り】森田美由紀
今回も色々な疑問に、チコちゃんが斬新な答えを繰り出しています。その中で、気になったのがスピーカーの話題。
1つのスピーカーでいろんな音が同時に出せるのは…なぜ?
そんな基本的なことを聞かれると、答えに困ってしまいます。
スタジオゲストの戸田恵梨香さんに振られて、う~ん、周波数が… と、答えに困ってしまいます。ついに、「ボーっと生きてんじゃね~よ~!!」と叱られちゃった… orz
チコちゃんの答えは「耳で音をバラバラにしているから」
え~!
スピーカーの話なのに、なんで答えが耳の話なの。
そういうのを論理のすり替えって言うんだよ。大人みたいな、ズルい手だねぇ。チコちゃん、論理が飛躍しすぎ。
でも、5歳児はそういうものかも。しがらみがないから、大胆な発想ができる。スピーカーも耳も同じ世界なんですね。
この答えに、ゲストみんな「???」ポカンとしています。そりゃそうですよ。この展開には、大人はついていけません。さすがチコちゃん。自由に生きてますね。
元半田ゴテ少年の答えは「だって、耳の鼓膜も1つで沢山の音を聞き分けられるから」
スピーカーが1つで、色々な音が出せるのは、音っていうものが、そもそも、そういうもの。
だって、耳も1つだけで沢山の音を聞き分けられる。片耳でも、何の音が鳴ってるか、わかるよね。
そういうものなんだよ。音って。
解説してくれるのは、電気通信大学 小池卓二 教授
小池研究室
人間・機械システム学講座バイオエンジニアリング分野では、数値解析、ニューラルネットワークや画像処理などを用いて、ヒトの聴覚器官の機能解明とその病変診断・機能回復への応用、生命組織体の構造と機能の工学的解析とその応用など、生体を対象とした研究を行っており、人間と機械とが一体化するシステムの開発を目指しています。
http://www.bio.mce.uec.ac.jp/
さすが専門家。耳の構造のシミュレーションなどを通して、人間の耳で音を捉える仕組みを研究しています。
小池教授は、現役オタク少年という風貌です。頼りがいがあります。
そもそも音とは、耳が感じる空気の振動のこと
なるほど、音とは空気振動という自然現象ではなく、耳で聞こえるから音なんですね。空気振動だけなら音波と呼ぶべき。音楽なら、なおさら、聞き手がいないと成り立ちません。この微妙な違い、わかりますか?
空気振動という自然現象と、耳で聞く、という受け手の存在があるから、音が聞こえる。ということですね。
そういえば、「誰もいない森の中で、木が倒れたら、音はするでしょうか?」という哲学的な問いを思い出しました。科学的には、そりゃ、木が倒れたら音が出るでしょ。と思ったんですが、模範解答は「誰もいないところでは、音はしない。だって、誰も聞いていないから」というもの。なんだか、釈然としませんでしたが、聞き手の存在が重要ということだったのかもしれません。
ともかく、音の発生源と耳という受け手の存在が、音を語る上で必須ということがわかりました。いや~、深いです。そんなに掘り下げなくていいって? すみませんね。元オタク少年なもので…
あらゆる音には固有の振動があって、全ての音は1つの波形で表せる
固有の振動というのは、音の波形、波の形のことです。音の波形は、音色を決めます。色々な音が同時に出せる、同時に聞こえる、というのは音色の話、つまり波形の形に着目します。
ちなみに、音の高さは、波形の全体の周波数、繰り返し時間の長さによって決まります。音の強さは、波形の大きさ、振幅の大きさで決まります。ま、そんなことはいいか。
どれだけ多くの音があっても、同時に聞こえるとき、波形は1つ
2人の声が同時に聞こえるということは…2つの波形が1つに合成されているということ。オーケストラのように沢山の楽器があっても、同時に聞こえるときは、波形は1つに合成されています。複雑な音というのは、複雑な波形ということでもあります。
スピーカーは波形通りに空気を振動させる。だから色々な音を再現できる
まあ、あたりまえですよね。波形通りに空気を振動させないと音になりません。そのためのスピーカーですから。でも、そういう当たり前のことを順を追って説明するって、大変です。とっても、疲れます。いや、小池教授が解説してくれてるんですけどね。
わかるかなぁ。このあたりまで来て、もうわかんな~い、と思ってる人、多いんじゃないかな。音の波形は実際に手で触ったり、分解したりできないから、感覚的にわかりにくいです。やはり、頭の中でイメージしながら、実験してみないとね。元オタク少年は、そんなことばかりやってたので、感覚が掴めるんですね。特殊体質ですか!?
スピーカーは音の波形の電気信号を空気の振動に変換している。内部は、磁石とコイルで、音の波形の電気信号を、物理的な動きに変換。コーン紙に伝えて、空気を振動させている。
磁石とコイル、コーン紙というスピーカーの原理を解説。まあ、ここまで分解すると、単純に音の波形の電気信号を空気の振動に変えているだけ。とも言えます。
電気の振動か、空気の振動か、の違い。オタク少年には、同じに見えます。振動は、電気も空気も同じなんです。波形として同じですから。普通の人は別に見えるものが、同じに見える。それがオタクか。二次元アニメに恋するのも、二次元と三次元が同じに見えるから。という話。なんだか、また難しい話になってしまいました。そもそも、普通ってなに? 話を戻します。
ここまでは、複数の音が同時に鳴る仕組みの解説でした。
同時に鳴っている音を、耳で聞き分けられるのは、なぜ?
ここから、ようやく、耳の話がはじまります。長いですね。音って、そんなにわかりにくいものだったのか。としみじみ。
人間の耳の中にある「有毛細胞」が音をバラバラに分解しているから、同時に鳴っている音を、耳で聞き分けられる…
ここで耳の専門的な用語が出てきました。「有毛細胞」って、どこにあるんでしょうか?
音を認識する「有毛細胞」は、耳の鼓膜の奥の「蝸牛」というところの中にびっしりある
鼓膜の奥です。蝸牛って、渦巻き状の、かたつむりの胴体みたいな形の器官。なんかあったね、理科の授業で習った気がする。あの三半規管とは違うよ。三半規管はかたつむりの頭のあたり、胴体のあたりが蝸牛です。
その蝸牛の中に音を認識する「有毛細胞」がある、と。ふ~。そんな中まで解説するんですね。さすがNHK。民放では、とてもこんな複雑な説明はできないよね。だって、ほとんどの視聴者は興味ないもん。すごくニッチなマニア層が、こうやって反応するくらい。でも、これが科学なんです。さらに、掘り下げましょう。
「内有毛細胞」が音の高さに反応するセンサーの役割を果たしている
有毛細胞の中にも、「外有毛細胞」と「内有毛細胞」というのがあるらしいです。「外有毛細胞」は音の大きさを感じる感度を調節する役割を持っている。「内有毛細胞」が直接、音を感じるセンサーです。「内有毛細胞」の場所ごとに、担当する音の高さが決まっているんです。
すごいですね。音の高さごとに分担して「内有毛細胞」が配置されてるなんて。初めて知りました! すっごく、メカニック的。機械みたいです。いや、機械の方が真似してるんですね。
音の高さ(周波数)ごとに、感じる「内有毛細胞」が分かれている。それぞれの「内有毛細胞」で、特定の周波数に反応することで、音をバラバラにしている。それぞれの音を、周波数ごとに別々の電気信号にして脳に伝えている。
ということは、耳の中で、周波数分解しているということです。これまた、ビックリ! FFTじゃないですか。FFTって、機械で周波数を分解する仕組み。フーリエ変換という周波数分布を分析する手法があって、実用的に使われているのが、高速フーリエ変換(fast Fourier transform)といいます。最近の研究ではニューラルネットワークのディープラーニングで、音を聞き分ける仕組みを学習させたら、FFTと同じような仕組みが自然に出来たという話があります。耳の発達も、色々な進化の過程で、FFT的な仕組みをつくっていったんですかね。いや、FFTが後追いなんですけど。
音の波形を、耳でバラバラにして感じている
ちなみに、耳がないように見える、魚やカエルも「有毛細胞」を持っていて、音を感じているそうです。
「有毛細胞」の種類や配置によって、どんな音を聞き分けられるかが決まるってことですね。
私は音にすごく敏感。ってことは、「有毛細胞」が人一倍多いのかしからん?
ともかく、深~い、音と耳の関係のお話でした。
では、また~!