今日はデジタル文化論から、AIと人間の関係を考察した本をご紹介します。
ユーチューバーが消滅する未来 ~2028年の世界を見抜く~
岡田 斗司夫 (著) (2018/11/29 PHP研究所)
岡田斗司夫さんと言えば、一時期はオタク評論家として有名だった人。今は大学の講師など、文化人になっちゃってます。
AIとユーチューバーって、つながらない気もしますが、読み進めると、納得なんですよ。10年後、AIが普通に生活に入り込んだ時、私たちの生活や文化はどう変わっているのでしょうか?
■現実より仮想世界の方が魅力的になる!?
フェイクニュース・サイトに人が集まる理由
それは「現実がより面白くなるから」
現実よりも、「盛った」話の方が面白い。ということなんですね。
さすがにフェイクニュースはダメでしょ。と理性では思っていても、感性の方はついフェイクニュースに惹かれている。
なんとも人間の弱さが、こんなところにも出てしまうんですね。
「この世界には美少女だけがいてほしい」という人にとっては、ありのままの現実を見るより、自分の見たい世界を見ることの方がずっと大切なはずです。
現実拡張ゴーグルを被ると、現実が自分好みにカスタマイズされている。見渡すかぎり、美少女ばかり。そうなったら、もう現実かどうかなんて、関係ありません。
「それぞれが別々の現実を生きる」
そうした消費者ニーズはもう止められないでしょう。
核家族化が問題になる現代ですが、10年後は、核個人化が進むんですね。
もう家族とケンカするなんて過去のこと。家でもゴーグルを被って、素敵な人に囲まれる。なんとも、滑稽な世界ですが、本人はいたって幸せです。
■AIは国境を超える!
アメリカ人ユーチューバーが流暢な日本語を話しているように見える。それが10年後の世界です。
AIによるリアルタイム自動翻訳によって、海外のユーチューバーが日本市場になだれ込んで来る、ということです。
サンドウィッチマンやナイツのようなシュールなギャクも、海外のコメディアンが演じられるようになるのでしょうか。微妙な間合いもAIで翻訳できるようになると、ありえない話ではないかもしれません。
日本人も海外進出のチャンスですね。キャラを磨いて準備しておきましょう!
CGで作られたAIユーチューバーは24時間365日、ずっと配信し続けられます。
海外からの流入の次は、AIがユーチューバー市場に乱入してくる。配信頻度では、人間はどうやっても太刀打ちできません。もう、人間の出番はないですね。残念ながら完敗です。
■恋愛対象もAIに!?
恋愛は「コスパが悪い」
「それほど魅力的とは思えない相手と付き合うのは、お金や時間の無駄」
そう言い切るイマドキの若者は、恋愛に冷めているようです。
「リアルであることの価値が暴落している」
生まれたときから、バーチャルに囲まれて育った世代にとって、リアルかバーチャルかなんて、関係ないんですね。
日本経済新聞 2019年元旦 AI特集ではこんなアンケート結果が出ています。
「AIと付き合いたいか」と質問したところ
男性の約6割が「AIと付き合うこと」に前向き
3%弱は「結婚を前提として付き合いたい」と回答
(15~26歳の約7300人に調査した結果、日本経済新聞 2019.1.1)
もう十分、AIは恋愛対象。10年後には、AIと人間は結婚できるか?みたない話題で盛り上がっているかもしれません。
■お笑いもAIに制覇される!?
お笑い人工知能の「大喜利β」
2016年、若手芸人と勝負して、5対3で勝ってしまった
大喜利βはメンタルが強い。人間ならネタがスベったら多少はひるみますが、大喜利βはひるまずにどんどん過激な回答を出してくる。
なるほど。感情がない、ということを逆手にとって、メンタルが強い、とは。逆転の発想ですね。
思わず吹き出してしまうようなネタでも、真顔で、ギャグを畳みかける。早口でまくし立てる。こういう技もAIなら簡単にできてしまいます。
さらにAI同士で、芸人役と観客役をさせて、無限に新ネタを試しつづけたら、どんどん独自の進化を遂げて、超絶すごいレベルに達しそうです。
人間にはまったく理解できないけど、AI同士で超ウケるネタ。なんで、こんなに面白いのに、人間は理解できないんだろう。本当に人間ってつまらないな。と、AIに見捨てられる時代が来るかもしれません。
未婚、独身の人の食卓も、人工知能のキャラがボケやツッコミを担当して、大家族のような雰囲気を作ってくれるなら楽しいじゃないですか。
24時間全力でユーザーの相手をしてくれる。それは、パラダイスなのか、AIによる完全支配なのか?
もう、そのときは諦めて、ゲラゲラ笑って過ごしましょう。楽しく行きましょう~ね!
ではまた。