2019年5月15日、はやぶさ2は、2回目のタッチダウンに向け、「ターゲットマーカー」投下のための降下をしていました。ところが、降下中にアボートして、計画を中止。
アボートというと、異常事態のように思ってしまいますが、高度センサーが想定外の値を示したため、安全のために計画を変えたということです。安全装置がきちんと動作したということで、本体には問題がないことがわかりました。ホッと一安心です。
5月22日にJAXAの記者会見があり、28日から再降下を再開し、30日には「ターゲットマーカー」を投下する計画が発表されました。
もう、慎重すぎる「はやぶさ2」が愛おしくて、たまりません!
テンション上がりっぱなしです!!!
■今回のアボート離脱(上昇)は結果オーライ、超ラッキー
元々、「ターゲットマーカー」投下は最大3回実施できるように計画されていました。5月15~16日の動作はその1回目です。
「ターゲットマーカー」は投下できなかったのですが、離脱(上昇)中に、運よく、投下予定地点付近の人工クレーター付近の高解像度の写真が綺麗に撮れました。これは狙ってできるようなことではなく、たまたま運が良かったということです。
高解像度の写真が撮れたことで、全体の計画に遅れは無く、むしろ、より確実に進めることができるようになりました。
さすが、はやぶさ2! 「持って」ますね!
これからも、神がかったウルトラCを期待しちゃいます!
■今回のアボート離脱(上昇)の原因は、高度計の運用手順
今回問題になった高度計は、レーザー光を使って、リュウグウの表面に光を当てて反射して光が戻って来るまでの時間を測定するタイプです。高度が下がるにつれて、戻って来る光が強くなるので、高度計のセンサー感度を変更する必要があります。
今回問題になったのは、センサーの感度を切り替える手順の中にありました。かなり複雑な手順を踏んで切り替えるのですが、その一部が完璧ではなく、一瞬だけ異常な値を出力してしまったのです。
記者会見でも決して「失敗」とは言っていません。むしろ、安全装置が正常に起動して、離脱(上昇)に転じたのは、全体としてシステムが正常動作している証拠、として胸を張っていました。
いいですね、この姿勢。感動しました!
日本人は減点主義で、少しでも問題が見つかると、その原因は? 再発防止策は? などと騒ぐ人がいますが、トータルで見ましょう。木を見て、森を見ず。にならないようにしたいものです。
■今後の予定(スケジュール)は?
1回目:5/14~5/16 運用名:PPTD-TM1
2回目:5/28~5/30 運用名:PPTD-TM1A
3回目:6/10の週 運用名:PPTD-TM1B(仮)出典:5月22日にJAXAの記者会見より
3回目の計画を実行するかどうかは、2回目の結果によって判断するそうです。もしやるとしたら、この時期を予定している。ということです。
こういった計画を、わかりやすくWebで公開してくれればいいのですが、今回のパワポ資料もWebには見当たりません。長~い、記者会見のビデオを見ると、色々詳しいことがわかるのですが、もうちょっと広報の仕方を工夫してほしいですね。
これからも、記者会見が公開されたら、レポートしていきますね!
ご期待ください!!
■クレーター付近へのタッチダウン本番は、7月までに実施
そして「ターゲットマーカー」を投下した後は、いよいよタッチダウンのときです。
7月上旬までに実施しなければなりません。
小惑星リュウグウにも、季節があり、7月以降は夏。表面温度はどんどん上昇。せっかく人工クレーターをつくって、地中を掘り起こした部分が太陽の熱で変化してしまう恐れがあるためです。
7月まで、次々とイベントが待っています。
しかも、残されたタッチダウンは、この1回だけです。
見逃せないですね!