はやぶさ2の2回目のタッチダウンの計画が発表されました。歴史的、2回目のタッチダウンの瞬間は、2019年7月11日です。生中継もあるようなので、お見逃しなく!
今日は、JAXA記者会見(2019年6月25日)より、最新情報をお伝えします。
■ 2回目のタッチダウンとは? 科学的意義は?
はやぶさ2は既に、第1回目のタッチダウンを2019年2月22日に成功させています。ではなぜ、第2回目のタッチダウンを行うのでしょうか?
はやぶさ2は、2019年4月25日に人工クレーターをつくることに成功しています。人工クレーターの付近には、小惑星リュウグウの地中から掘り起こした物質が積もっているわけです。畑を耕運機で耕すみたいに、土を掘り返した状態ですね。
2回目のタッチダウンでは、この人工クレーター付近からサンプルを採取します。
マルチサンプリングと言って、1つの小惑星の2か所からサンプルを採取すること。さらに、小惑星の表面と内部、両方のサンプルを取得すること。この2つを成し遂げるのは、世界初のことです。米国NASAも、中国も韓国も、まだ誰もやったことがない。そんな人類未踏の世界に、日本のチームが挑戦するのです!
1回だけでも凄いことなのに、2回サンプルを取得することで2つの差を比較して、色々な最先端の研究ができるようになります。持ち帰ったサンプルは、世界の研究機関に配布され、全世界の科学研究が大きく前進するわけです。日本が世界に大貢献する、とても意義の高いことなのです!論文の数も天文学的な数になりそうです!?
■ はやぶさ2、人工クレーター成功の画像は?
はやぶさ2がつくった人工クレーターの詳細画像を調べたところ、1mくらいまでの深さを掘り起こしたことがわかりました。タッチダウン予定地点の付近には掘り起こした土(砂)が1cm程度積もっていると予想されています。サンプル採取の量としては十分!人工クレーターの形成がバッチリ成功したことがわかりました。
また、カメラで捉えた画像から、人工クレーター付近の土は光の反射率がものすごく低い、つまり真っ黒ということがわかっています。どのくらい真っ黒かというと、地球上で見つかった、どの隕石よりも黒い、つまりまだ人類が見たことの無い土(砂、岩)ということ。そんな誰も見たことも触ったこともない土が採れる可能性がある、というのです。
世界初とか、人類史上初とか、とてつもなく、凄いことが起きそうです。もう、それこそ宇宙スケールの夢ですね。興奮しすぎて、鼻血が出そうです!
■ 2回目のタッチダウン予定時刻は7月11日11:00頃
7月9日から降下を始めて、7月11日の11:00頃(日本時間)にタッチダウンします。小惑星リュウグウ上空20kmの位置から、ゆっくりと高度を下げて、タッチダウンまで3日もかかるんです。時間がかかるのは、安全性を優先し、燃料消費を最小限にするためですね。
当初は、7月初旬までに2回目のタッチダウンをしないと、太陽の熱でせっかく掘り返した土の性質が変わってしまう(変質する)と言われていました。しかし、その後の分析で、当初の予想より太陽の熱の影響が小さいことがわかりました。そのため、準備期間を長く取った方が、より成功確率を高くできると考えたわけです。
2回目のタッチダウンは2回チャンスがあります。ラストチャンスは7月下旬。こちらは計画上のバックアップ。万が一のときでも、もう1度トライすることを計算済みなのです。この7月下旬まで、太陽の熱の影響は少ない、許容範囲内と見積もっています。
2回目のタッチダウンは7月11日に予定されていますが、高度を下げる途中で異常を検知した場合は、ただちに中止(アボート)して、上昇することにしています。1回目のときより、さらに異常検知の基準を厳しくしているそうです。これは、はやぶさ2を安全に地球に帰還させるための対策です。念には念を入れて、はやぶさ2は大切に守らているわけですね。
中止(アボート)は失敗ではなく、安全性を最優先にした結果。中止(アボート)したら、もう1回チャレンジすればいい、ということです。とは言え、ちょっとしたことで、中止(アボート)になってしまうかもしれない。となると、失敗でないとは言え、ドキドキしますよね!
降下中止(アボート)した後のバックアップ計画もある。なんて、用意がいいんでしょう。発表されている情報は、実際に研究者が検討したほんの一部の筈です。もっと、もっと、も~っと、考えて、議論して、時には殴り合いの喧嘩をして(いや、嘘です。さすがに、それはないです)、計画を進めています。とっても頭のいい人がワイワイ議論している、凄い世界です。世界最高の頭脳がここに結集している。熱くてクール。凄すぎです!
■ タッチダウン予定の場所はC01-Cbエリア
タッチダウン予定のC01-Cbエリアの写真。遠くからの写真では、ほぼ平坦に見えますが、拡大写真を見ると、けっこう岩がたくさんあります。はやぶさ2が安全にタッチダウンするには、周囲の岩は70cm以下のサイズでなければいけません。
はやぶさ2は、長~い筒状の本体から突き出たサンプラーホーンと呼ばれる装置でサンプル採取します。小惑星リュウグウにタッチしたときにサンプラーホーンが縮む長なども計算して、70cm以下の岩であれば、はやぶさ2の本体にぶつからない、つまり安全ということなのです。予定エリアにある岩は、最大でも65cmの大きさなので、安全にタッチダウンできると判断しました。
C01-Cbと名付けられたタッチダウン予定エリアは半径3.5mの小さいエリア。太陽の反対側にある、1kmくらいの小惑星のさらに、半径3.5mのC01-Cbエリアを目掛けてタッチダウンするのです。気が遠くなるくらい、凄い精度ですね。
2回目のタッチダウンで使われるターゲットマーカーは、目指すC01-Cbエリアの中心から2.6m離れた場所にあります。1回目のタッチダウンではもっと離れた場所にあって、結構難しかったそうですから、その点は2回目の方が楽そうです。
■ 7月11日はタッチダウン実況生中継を!
次回記者会見は7月9日、タッチダウン直前に行われます。
そして、7月11日はタッチダウン実況生中継をみんなで見ましょう。世界の歴史的瞬間です。
ドキドキ、ワクワク。こうご期待です!!!
小惑星探査機「はやぶさ2」のJAXA記者会見(2019年6月25日)より