日本の小惑星探査機「はやぶさ2」は、小惑星リュウグウへの2回のタッチダウンを成功させ、いよいよ地球帰還モード。イオンエンジンも快調に運用中です。
少し落ち着いたところで、2019年12月19日にJAXAとNECの共同記者会見が開かれました。少し面白い話も出てきたので、ご紹介します。こんばんは。元オタク少年のshigeです。
2019年12月19日は、珍しいJAXAとNECの共同記者会見
ふだんの記者会見はJAXAの人がメイン。たまに、共同研究している大学の先生が登場するくらいです。メーカーが参加したのは、はやぶさ2では初めてではないかな。裏方さんが表に出てきた、みたいな。
それにしても、JAXAが絶賛するNECの働きぶりが凄いです。
小惑星探査機「はやぶさ2」の記者説明会
2019年12月19日(木)15:00~16:00
https://fanfun.jaxa.jp/jaxatv/detail/15703.html
大胆な発想のJAXAに対して、緻密・厳格なNECのコラボ、相補関係の役割分担
JAXAは全体の計画を遂行するために、大局的な視点から発想します。だいたい、こんな感じ、みたいな。これは、これで、重要ですよね。そもそも、小惑星にタッチダウンしないと、探査衛星を飛ばしている意味がないですから。
一方のNECは緻密で厳格な運用を得意とする。メーカーですから、きちんと動かすことが重要なミッションです。はやぶさ2本体の設計や運用にも深く関わっています。イオンエンジンだけじゃないかったんですね。本体の他、管制システム、制御プログラムなど、かなりの部分がNEC担当ということになっています。
小さな町工場も貢献しているのですが、ちょっとその辺には触れる時間がなかったみたい。今回は、NECの宣伝に協力した感じです。
記者会見の山場、JAXA NECの秘話は、53:00頃~
記者会見のビデオで特に面白かったのは、53:00頃~のやりとり。
1回目のタッチダウンの計画が難航していて、JAXAとNECとの間で、3か月以上やり取りが続いていた。ある意味、議論が紛糾、膠着状態で、精神的にもギリギリの状態だったみたいです。
予想外にデコボコの小惑星リュウグウの表面を見て、タッチダウンできるエリアが狭い、当初想定以上の精度ではやぶさ2を制御する方式が見つからない…
1回目のタッチダウンを実行するにあたって、当初想定の方式では安全にタッチダウンできないことがわかった。急遽方式変更を検討するものの、どれもダメ。
JAXA側がアイデアを出し、NEC側が技術的な実現性を検証する、という役割。
JAXA:この案はどう?
NEC:ダメです
JAXA:じゃあ、このアイデアならいけるんじゃない?
NEC:それもダメです
JAXA:じゃあ、こんなのはどう?
NEC:それはムリです
みたいなやりとりが、3か月も続くと、そりゃイヤになりますよね。そこで、出てきた発言がこちら
「NECは着陸させるつもりがないんじゃないか」つい出た悪態、トラブル!?
53:00頃~
JAXAの担当者は裏で「NECは着陸させるつもりがないんじゃないか」と言っていたんです
https://fanfun.jaxa.jp/jaxatv/detail/15703.html
会場からは、どよめきが。笑い声も。これ、ウケる。 いい話、聞けました!!
今だから笑えるけど、その緊縛した現場の空気の中では、とても笑えない。マジきつい!
JAXAとNECの絶対的な信頼関係ができていたからこそ、乗り越えられた
人間ですから、一時的に感情的になるのは、しかたないです。絶対的な信頼関係ができていたから、今は笑顔で共同記者会見を開ける。成功したからというのもあるけど、本気でケンカしてたら、こうはならないもんね。
地球帰還への道のりは、地味だけど、気が抜けない
地球帰還までのリスクを聞かれて、まあ、宇宙では何があるかわからないので、気が抜けない運用が続く。一旦、予定軌道から外れると、取り返しがつかないかもしれない。そういう意味で、監視と制御から気が抜けないみたいです。
イオンエンジンはNECの独壇場
イオンエンジンをメインにしたのは日本が初。NECの功績はとっても大きいです。
約1年後、正常に地球にカプセル投入してくれることを期待しています!
そして、はやぶさ2本体は、再び宇宙へ。その後どこへ向かうかは、まだ白紙状態。新たな旅の計画は、もう少し先になりそうです。
てなことで、エンジニアには萌える話でした。
ではでは~