こんにちは。元オタク少年のshigeです。今日は、日本の重力波望遠鏡「KAGRA」のお話。そもそも「重力波」って何?って感じですよね。アインシュタイン博士が100年前に一般相対性理論を応用して予言した重力波という現象が、実際に観測できるようになっています。世界に日本が貢献する、最先端の「マルチメッセンジャー天文学」という分野。NHK サイエンスZEROからお伝えします!
NHK サイエンスZERO
「潜入“KAGRA”望遠鏡 天文学革命はじまる!」
(2019年10月6日放送)
【司会】小島瑠璃子,森田洋平
【出演】国立天文台 教授…渡部潤一
【語り】川野剛稔
https://www4.nhk.or.jp/zero/
「重力波」って何? アインシュタイン博士の100年前の予言は正しかった
重力波とは、空間のゆがみが波となって光の速さで伝わる現象
とっても大きな、重い天体、たとえばブラックホールとか、中性子星とかが、動くことによって「空間のゆがみ」が起きます。重力が空間をゆかめるんですね。
アインシュタイン博士が考えた一般相対性理論によると、質量(つまり重さ)によって空間がゆがむ。とても、想像がつきませんが。そういうことなんです。
重い天体が動くことで、その空間のゆがみが、波打って伝わる。その伝わる速度は光の速さで伝わる。ということです。この「重力波」という考え方を、アインシュタイン博士が100年前に予測してたんです。でも当時、そんなものを観測できるわけもなく、アインシュタイン博士の宿題とされてきました。
空間のゆがみといっても、ごくごくわずか。どのくらいかというと、3kmの観測設備で、動く距離は水素原子1個の大きさの10億分の1以下。このわずかな距離の変動を捉えようというのだから、気が遠くなるくらいの高精度の設備が必要です。
なんとも、難しい宿題を出してたんですね。科学者も困っちゃいます。私だったら、そんなのムリ!って放り出しちゃいます。だって、原子の大きさよりメチャメチャ小さいものを、どうやって測れっていうんでしょうか?100年もかかったのは当然です。はぁ~、って溜息がでそうですね。
2017年8月17日~世界中の科学者が興奮した2週間、歴史的観測は「重力波」観測から始まった
米国、欧州が早い時期から重力波望遠鏡(重力波検出器)を建設していて、歴史的観測は米国の重力波望遠鏡LIGO(ワシントン州)が先でした。
2017年8月17日、稼働してまもない米国の重力波望遠鏡LIGOが、重力波を捉えました。全世界の科学者に情報が送られ、欧州の重力波望遠鏡でもこの現象を捉えていることがわかり、中性子星同士の合体であることがわかりました。さらに、観測データを突き合わせることで、重力波のおおよその方向がわかった!
全世界の科学者たちにこの情報が使えられ、光学望遠鏡や電波望遠鏡を使って、一斉に観測が始まります。色々な方法で観測した結果、アインシュタイン博士の理論を使って計算した値とピッタリ一致。アインシュタイン博士の予言が正しかったことが証明されたのです!
ああ~、これでようやく、喉のつかっかえが取れた感じ。アインシュタイン博士の宿題、完了!
凄いよ! 科学の世界では、世界が一致団結。みんな協力的なんですね。いいねぇ。世界平和だねぇ。
日本の重力波望遠鏡「KAGRA(かぐら)」がついに完成! 今年2019年中に本格稼働予定
日本も少し遅れて重力波望遠鏡「KAGRA」(かぐら)を完成させました。今年2019年中に本格稼働を始めるとか。
KAGRAの完成記念式典が2019年10月4日に行われています。つい先週ですね!
出典:https://www.nao.ac.jp/news/topics/2019/20191004-kagra.html
最新鋭の重力波望遠鏡「KAGRA」はマイナス253℃に冷却された巨大サファイア鏡がカギを握る
長さ3kmの直線アームが2本直角に配置されています。
この巨大なパイプみたいな装置の中は真空になっていて、超強力レーザー光が走っています。
途中には、巨大なサファイア鏡が!
サファイアって、高価な宝石ですよね。直径22cm、重さ23kgもある巨大なサファイア鏡を人工的につくって、使っているとか。どんだけ、お金かかってるんでしょうか?お金の方も天文学的かなぁ~?
サファイアは熱の伝わり方が凄く良くて、専門用語では熱伝導率が高いというらしいです。そのサファイア鏡をマイナス253℃に冷却。超ヒエヒエ、キンキンに冷やすことで、熱の揺らぎを最小限に抑えます。熱があると、原子がゆらゆら動くので、水素原子1個の大きさの10億分の1以下という、極々微小な重力波のゆがみを捉えることができません。
米国の観測施設では、クリスタル石英を使うなど、色々工夫していましたが、どうしても熱ゆらぎの影響で、うまく観測するのが難しかった。日本のKAGRAは世界で初めて、サファイアを使った鏡を導入。世界最先端の施設になりました。
後から作るんだから、絶対、性能で上回らないとダメですよね。とっても、お金か買ってそうだけど、偉いぞ日本!
長さ14mの上からをヒモで吊るす、振子状のサファイア鏡の防振装置
サファイア鏡の固定方法にも工夫が。長さ14mの上からサファイア鏡をヒモで吊るした状態で固定し、途中に振子状の重りをつけて、防振装置をつくっています。地震とまではいかなくても、地球はつねに、小さく振動してるんです。水素原子1個の大きさの10億分の1以下という、極々微小な重力波のゆがみを捉えようとしてるんだから、地球の振動の影響も押さえないといけない。こんな今までにない工夫を積み重ねて、世界最高レベルの重力波望遠鏡が完成です!
マイナス253℃も凄いし、14mの上からサファイア鏡を吊るすという構造も、凄すぎです。
これが、地中深いトンネルの中にあるんです。スーパーカミオカンデの近く、岐阜県神岡町です。凄い山奥のトンネルの中で、世界最先端の科学が生まれているんですね。私は、閉所恐怖症なので、行きたくないですが。見学ツアーも企画されているみたいです。気になる人はチェックしてみてくださいね!
「重力波」観測が可能にする「マルチメッセンジャー天文学」とは? 新しい宇宙観測の可能性
2017年8月17日から始まった歴史的2週間の観測のように、重い天体同士の合体現象を捉えて、宇宙の謎を解き明かす計画が進んでいます。重い天体と言えば、こんなものがあります。
- ブラックホール同士の合体(光をほどんと出さない)
- 超新星爆発
- 中性子星同士の合体
こういった歴史的瞬間をいち早く捉えることに、重力波の観測は適しているんです。なんでも、光が届く前に、重力波が届くらしい。
例えば、中性子星同士が合体するとき、重力波が先に発生して、その後少し遅れて、光や電波が出て来る。中性子星同士の合体のときに起きる重力波を観測できれば、その後やってくる、光や電波を予測し、その方角に世界中の光学望遠鏡や電波望遠鏡を向けて、集中して観測できるようになります。
赤外線、紫外線、ガンマ線などの色々な波長の望遠鏡で現象を読み解く。これをマルチメッセンジャー天文学と呼びます。
世紀の観測タイム予報ですね。凄いのが来るぞ~!って誰かが叫ぶと、一斉にみんなでそっちを向いて、頑張るタイムに入る感じです。
日本が「KAGRA」を使って世界に貢献
その世紀の観測タイム予報を真っ先に出せるのが日本の最新鋭重力波望遠鏡「KAGRA」ということです。「KAGRA」を使って、真っ先に重力波を捉え、世界の研究機関に通報。世界が一斉に動き出す瞬間に立ち会うという感じです。
いつ来るかわからない重力波ですので、24時間、365日、観測を続け、その時に備えています。
いや~、本当に頭が下がります。私には無理です。根性ないですから。
でも、科学者も好きでないと出来ないですよね。そんな気の遠くなるような話。ジッと観測しながら、ワクワクしているんでしょう。
重力波望遠鏡(検出器)「KAGRA」の紹介動画はこちら
マイナス253℃にキンキンに冷やされながらも、熱い科学のお話でした。また、続報が入ったらお伝えしますね。
ではでは~!