宇宙は「無」から生まれた!? 『ビッグ・クエスチョン』スティーヴン・ホーキング(著)

今日は、 スティーヴン・ホーキング博士の新刊本『ビッグ・クエスチョン <人類の難問>に答えよう』をご紹介します。

スティーヴン・ホーキング博士。どういう人かはよく知らないけど、車椅子に乗った天才科学者、という博士の姿はどこかで見たことがあるのではないでしょうか。若いころにALS(筋萎縮性側索硬化症)という病気を発症し、車椅子生活が長く、声も出せなくなり、音声合成装置の声がトレードマークになりました。そんなホーキング博士は、2018年に76歳でお亡くなりになっていて、本作は遺作とも言えるものです。

天才科学者なのに、数式など殆ど使わずに、素人にもわかりやすい語り口。宇宙や科学について、多くの人が抱く基本的な疑問にわかりやすく答えてくれます。

■宇宙が始まる前は、そもそも時間が存在しなかった!?

宇宙はビッグバンから始まった。この話は、どこかで聞いたことがあるでしょう。

本当に小さい、1ミリにも満たない小さなところから宇宙の全てが生まれた、というのがビッグバンです。素人には想像しにくいですが、多くの宇宙観測結果からも、ホーキング博士の理論からも、そう考えるしかないそうです。なので、ここは清く、信じましょう(笑)。

そうすると、ビッグバン以前はどういう状態だったのか?

という疑問が湧いてきます。

ホーキング博士によると、ビッグバン以前は「本当に何も無かった」「無の状態」ということなのです。

空間も時間も無かった。

「ん?」

何を言っているのか、私にもわかりません(爆)

宇宙が始まる前の世界に似たものとして、ホーキング博士はブラックホールをたとえに挙げています。ブラックホールの中心は、空間も時間も無い世界です。ブラックホールに吸い込まれると、外からは見えなくなりますが、もし見えたとしたら、外からは時間が止まったように見えるのです。死んだ?と思っても、中では生きている(いや、実際には、生物はおろか、原子すら潰されちゃいますけどね)。

2019年に入って、ブラックホールの姿を直接映像で捉えたという大ニュースが巻き起こりましたね。もうブラックホールは身近な存在です。さらに現在では、宇宙のあちこちにブラックホールがあることがわかっています。そうすると、空間も時間も無い世界というのは、それほど特別なことではないのです。

時間がない世界では、時間が無限にある、とも言えそうです。なんか、ワクワクしますね。無限に、一生、年を取らない。でも、空間もないので、デートしたり、美味しいものを食べることもできません。やっぱり、普通がいいです。。。

■空間が膨張することで、時間が生まれた

ビッグバンが始まって、宇宙が膨張しはじめて、はじめて、時間が生まれた。

それ以前は時間すらなかったのに、空間が生まれ、同時に、時間も生まれた。

なんとも、不思議で、壮大な話です。

ちょっと理解が追い付きませんが、次に行きましょう。

■宇宙には膨大なエネルギーが満ち溢れている

宇宙には、数々の星があります。全て、物質でできています。

この地球も、太陽も。銀河系も、他の銀河も、すべて物質です。

では、この物質は、どこから生まれたのでしょうか?

物質の代わりにあったのは、エネルギーだけ。その膨大なエネルギーの一部が姿を変えて、物質が生まれた、とホーキング博士は教えてくれます。

E=mc2

このアインシュタインが生み出した式は、質量とエネルギーは変換可能ということを表しています。
原子力発電や原爆もこの原理を応用したもの。1g(グラム)の物質をエネルギーに換算すると、広島に投下された原子爆弾に相当するそうです。つまり、モノの重さが少しでも消えると、そこから膨大なエネルギーが生み出されるわけです。

光輝く星々、太陽や地球、そして私たちの体も、全て元は、エネルギーだった。って、どんだけ凄いエネルギーやねん!?(なぜか大阪弁w)

気が遠くなるような、まさに天文学的な超膨大エネルギーです。

では、そんな超膨大エネルギーが、どこに蓄えられていたのでしょうか?

ホーキング博士の答えは、またしても、何もない「無」から生まれた。

ここでまた、「ん???」

と頭を抱えてしまいますね。

みなさんは「エネルギー保存の法則」というのを聞いたことがあるでしょうか?

多分、理科の時間に習いましたよね。

忘れた? まあ、いいでしょう。

簡単に説明すると、エネルギーは、形を変えることができるけど、全体のエネルギー量は常に一定、というものです。例えば、電球は、電気エネルギーを光エネルギーに変換して光っています。電気が光に変わる。さらに一部は熱に変わる。電球は触ると熱いですよね。そんな風にエネルギーの形が変わっても、エネルギーの総量は変わらないのです。

では、宇宙の天文学的な超膨大エネルギーが「無」から生まれるなんて、おかしいじゃないか!!

いい加減なことを言うなよ、ホーキング!
(大胆、呼び捨て)

と叫びたくなります。

■宇宙の膨大なエネルギーは、空間と引き換えに生まれた

では、どうやって、エネルギーゼロの状態から、宇宙に存在する超膨大エネルギーが生まれたのか?

ホーキング博士は、プラス(正)とマイナス(負)で、説明しています。

ビックバンが起きたときに、宇宙全体がいっぺんに出現し、空間もそのとき生まれた。

ビッグバンで正のエネルギーが大量に生じたとき、それと同じだけの負のエネルギーも生じた。生のエネルギーと負のエネルギーで差し引きゼロ。全体のエネルギーが常に一定であることは自然の法則だ。

空間そのものが負のエネルギーの広大な貯蔵庫なのだ。全てを足し合わせれば宇宙は無になる。宇宙はタダで手に入る。宇宙は究極のフリーランチなのだ。

出典:『ビッグ・クエスチョン』スティーヴン・ホーキング(著) より

宇宙に存在する超膨大なエネルギー、物質もエネルギーが変換してできたもの。それらは全て正のエネルギーです。

その正のエネルギーの総和と同じだけ負のエネルギーが同時に生まれた、というのです。

では、負のエネルギーって、どこにあるのでしょうか?

実は、この宇宙の広大な「空間」が、負のエネルギーの貯蔵庫だと言うのです。

ほんまかいな!?

と言いたくなりますが、天才科学者ホーキング博士が言い切っているのです。信じましょう。信じるものは救われる。

私の財産も、こんな風に「無」からどんどん増えないでしょうか。永遠の夢、ロマンですね。

ここまでご紹介したのは、『ビッグ・クエスチョン』の冒頭のほんの50ページ強。この後、宇宙の終わりや、地球外生命、AI(人工知能)の進化、未来はどうなるのか?など様々なビッグ・クエスチョンに答えています。

でももう、頭が沸騰しそうなので、このくらいにしておきます。

ではまた~!

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