ポスト京「富岳」 性能400ペタFLOPS、使いやすさ重視、重点課題とは?

一時期は世界最高性能だった日本のスーパーコンピューター(略してスパコン)「京」。その後継機「ポスト京」の開発が着々と進んでいます。スパコンって何?という方から、予算はどこから出てるの?世界一になれるの?といった素朴な疑問にお答えしていきます。

■ ポスト京の名前は「富岳(fugaku)」に決定! 「富岳」とは「富士山」

2019年5月23日(木)、理化学研究所はポスト「京」の名称を発表しました。

ポスト「京」の名称を「富岳(ふがく、fugaku)」に決定しました。

「富岳」とは「富士山」のこと。「富士山」の別名が「富岳」だそうです。

だったら、「富士山」でいいんじゃないの!?

このネーミング理由について
1.世界トップレベルの研究拠点・スパコンであることを知ってもらえること
2.日本国内のみならず、世界中の人にとって親しみやすい名称であること
出典:マイナビニュース 2019/05/23

ますます、「富士山」の方が適切な気がしてきました。

絶対、「富士山」の方が有名だし、わかりやすいと思いますが、どうなんでしょう?

なんか、イマイチな感じがします。

「富士山」にしちゃ、ダメな理由があるんですかねぇ?




■ ポスト京「富岳」の性能は、400ペタFLOPS、2021年稼働開始!

現在のスパコン「京」が10ペタFLOPS

記憶違いでなければ、従来の100倍の性能を目指す計画だったと思うのです。

だから、1000ペタFLOPS(1エクサFLOPS)を期待していました。400ペタFLOPSって、メチャメチャ中途半端。まじめな日本人らしい、正直な数字です。誰も、そんな小さいこと気にしてないのに。真面目過ぎます。

そして稼働開始は、2021年です。もうすぐですね!

■ top500の1位は絶望的、海外では1000ペタ(1エクサ)FLOPS以上がトレンド

  • 米国「Frontier」は、1.5エクサFLOPS以上、2021年稼働と発表
  • 中国は世界初のエクサFLOPSスパコンを、2020年に実現すると発表

など、つぎつぎと、エクサFLOPSスパコンが発表されています。

もう切りのいい数字を超えなければ、よくわからないものとして、注目さえされないのです。

もっとアピールしてほしいですね。




■ ポスト京の重点課題1~9

ポスト京「富岳」には壮大な目的があります。そして、9つの重点課題が設定されています。この重点課題(テーマ)にそって、必要な機能や性能の実現を目指しています。社会で求められている課題に対して、実用的な成果を出していく、ということです。

スーパーコンピュータ「京」の後継機「富岳」開発の最大の目的は、現代社会が抱えるさまざまな課題と、科学分野における重要な問題の解決に貢献することです。

「富岳」で取り組むべき課題は、文部科学省における学界・産業界の有識者からなる検討委員会において、以下の3つの観点から検討されました。

①社会的・国家的にみて、取り組む意義が高いか
②世界をリードするような成果が期待されるか
③「富岳」の性能を有効に活用できるか

(理化学研究所HPより)

重点課題1(創薬)生体分子システムの機能制御による革新的創薬基盤の構築

病気の原因となるタンパク質などに結合して、その機能を制御する分子が薬の元になります。たくさんの候補の中から目的に合った分子を探し出し、効果を実験するために、多大なコストと時間が掛かっています。

こういった実験の代わりに、スパコン「富岳」によるシミュレーションを使うことで、効率化と低コスト化を図ります。

重点課題2(テーラーメード医療)個別化・予防医療を支援する統合計算生命科学

病気の予防や早期発見を、個人ごとの特性に合わせて最適に行う、テーラーメード医療が求められています。

個人ごとの検査データやゲノム情報を解析し、大規模な生体シミュレーションを行う。また、大量のデータ分析により、病気自体の理解を深める。そして、個人ごとに最適な治療方法を見つけます。

重点課題3(災害予測)地震・津波による複合災害の統合的予測システムの構築

地震と津波が同時に発生したら? 今後予想される、様々な災害を、複数のシナリオを立てて予測するシステムが求められています。その予測結果に基づき、より効果的な対策を進めることが期待されます。

重点課題4(気象予測)観測ビッグデータを活用した気象と地球環境の予測の高度化

地球温暖化、局地的豪雨や竜巻、巨大台風などの異常気象の予測。さらに、大気中に放出されるエアロゾル(微粒子)や温室効果ガス、PM2.5などの影響を予測し、環境対策に貢献します。



重点課題5(高効率エネルギー)エネルギーの高効率な創出、変換・貯蔵、利用の新規基盤技術の開発

エネルギー問題に対応するために、高効率・低コストでエネルギーをつくり、蓄え、うまく利用する技術を開発します。

具体的には、「富岳」のシミュレーションにより、有機太陽電池や高効率太陽電池や、水から水素を取り出す人工光合成などに取り組みます。

重点課題6(クリーンエネルギー)革新的クリーンエネルギーシステムの実用化

二酸化炭素(CO2)を出さない石炭ガス化炉、低コストで耐久性の高い燃料電池、洋上の大規模な風力発電施設、核融合発電など、コストや環境に対する影響、安全性や資源量などあらゆる面で優れたエネルギー源の開発に取り組みます。

「富岳」のシミュレーション技術、性能が実用化を加速します。

重点課題7(新機能デバイス・材料)次世代の産業を支える新機能デバイス・高性能材料の創成

高機能半導体デバイス、光・電子融合デバイス、などの新機能デバイス。超伝導・新機能デバイス材料、高性能永久磁石・磁性材料、高信頼性構造材料、次世代機能性化学品、などの高性能材料。

これらの新しいデバイス、材料の開発にチャレンジします。また、これらの開発を支える共通基盤シミュレーション手法も開発します。

重点課題8(ものづくり)近未来型ものづくりを先導する革新的設計・製造プロセスの開発

日本のものづくりをさらに高度化させる取り組みです。「富岳」のシミュレーション技術と性能により、設計と製造のプロセスに革新をもたらします。

重点課題9(宇宙科学)宇宙の基本法則と進化の解明

宇宙誕生と進化の解明を目指します。

宇宙に漂う正体不明のダークマターの正体、素粒子や原子の誕生から、宇宙の誕生と進化など。スーパーコンピュータ「富岳」のシミュレーション技術・性能と、大型実験・観測のデータを組み合わせて宇宙の基本法則の手掛かりを見つけます。

色々見てきましたが、スケールが宇宙規模で、凄いです。ポスト京「富岳」スーパーコンピューターの今後から、目が離せません!

ではでは。