ディープテック (Deep Tech)とは? 長期視点で基盤技術ベンチャーを支える仕組み

突然ですが、ディープテック (Deep Tech)という言葉を聞いたことがあるでしょうか? ディープフェイク(deepfake)じゃないですよ。新しい技術トレンドか、と思って調べてみたら、地味だけど重要な技術のこと。長期視点で、将来重要なインパクトを与える技術を育てていく、という考え方のようです。

こんにちは、元オタク少年のshigeです。今日は、ベンチャー投資などにも関係するディープテック (Deep Tech)について、ご紹介していきます。



ディープテックとは?(言葉の定義)

言葉としては、数年以上前からあるみたいです。大手IT企業のGoogle, Microsoftなどもベンチャー投資の一環でディープテック(deep tech)という言葉を使っていたりします。

技術の世界には、すぐに使えるアプリのようなサービスと、それ自体では何に使えるのか、特徴がよくわからない要素技術のようなものがあります。

ベンチャー企業でも、アプリやWeb上のサービスなど、すぐに使えるものがあれば、わかりやすく、投資も集まりやすい。一方で、要素技術と呼ばれる、特徴がわかりにくい技術は、専門家でも評価が難しい。結果的に、投資が集まりにくい。

地味で手つかずだったベンチャーに注目するというのは、すごく効率のいい考え方です。お宝埋蔵金を掘り起こすみたいな。お金のいい匂いがします。うふっ~

ディープテック = 将来インパクトが大きい要素技術

要素技術の中でも、将来インパクトが大きいと考えられるものをディープテックとして評価しようという流れです。

人工知能(AI)、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、ドローン、ロボット、などの先端技術分野でも、まだ形になっていなくて、わかりにくい要素技術ということ。




ディープテックとは、大学や研究機関で長期間かつ多額の費用をかけて研究開発された技術(眠っているような技術)を基に、世の中の生活スタイルを大きく変えたり、社会の大きな課題を解決したりする技術のことである。

ディープテックとは、以下の4つの要素を含んだ製品・サービスのことを指す。

・最先端の科学技術、または研究開発を基礎とした技術がある。
・実現までに高いスキルと非常に多額の投資額と長い時間がかかる。
・多くの場合、具体的な製品・サービスが見えていない。
・成功した場合のインパクトが非常に大きく、破壊的ソリューションとなり得る可能性を秘めている。

出典:HBR https://www.dhbr.net/articles/-/5596?page=2
フランスのNPO法人Hello Tomorrow(ハロー・トゥモロウ)と、ボストン・コンサルティング・グループが共同作成したレポートより

つまり、もっと注目されてもいいのに、注目が集まらない技術を取り上げて、注目とお金を集めようという動きです。企業間で連携して、その技術を活用する動きも当然含まれます。

実用化まで時間がかかるので、従来型の評価が難しい。長期視点で、じっくり育てて、ガッポリ儲ける。いやいや、儲けは後回しで、社会的インパクトを重視した社会投資と考える方がいいでしょう。

わたしも、余裕があれば、こういう企業に投資したいなぁ~

日本でディープテックを牽引するイベント

イベントも行われています。

ディープテックグランプリ

ディープテックに取り組むベンチャーのコンテスト、年1回開催されています。

ディープテックグランプリ 2019
https://techplanter.com/dtg2019/



今年のグランプリは、廃熱問題の解決を目指す素材ベンチャーの株式会社U-MAP

第7回ディープテックグランプリ速報!最優秀賞は廃熱問題の解決を目指す素材ベンチャーの株式会社U-MAP
https://lne.st/2019/09/09/dtg2019-result/

テックプランター 2019に応募いただいた232チームの中から選ばれたディープテックグランプリのファイナリスト12チームが、熱いプレゼンテーションを繰り広げました。

そして、栄えある最優秀賞に輝いたのは、「株式会社U-MAP」。テーマは「独自素材”AlNウィスカー”を用いた高機能かつ高熱伝導材料」です。樹脂に配合可能な新しい高熱伝導素材を用いて、増え続けるエネルギー消費に伴う廃熱問題の解決を目指しています。「世界のエネルギー消費の5%を削減する」という大きな目標に対して期待を込めての受賞でした。

実に地味な技術ですが、世界の消費エネルギーの5%が削減されれば、何十兆円という経済効果が期待できます。熱エネルギーの有効活用というのは、自動車や工場、発電所、オフィスなど、分野で活用ができます。すごいインパクトを持ってますね。




日本でディープテックを牽引する組織

日本でディープテックという言葉を積極的に使っている組織をご紹介していきましょう。

一般社団法人日本ディープテック協会

一般社団法人日本ディープテック協会
http://hellotomorrowjapan.org/
HELLO TOMORROW JAPAN運営会社

Hello Tomorrow Japanを運営する一般社団法人(NPO)で、ディープテックの力を使って新しいチャレンジをする研究者やスタートアップと、起業家、投資家、大企業を結びつける活動を行っている。2018年5月にHello Tomorrow(パリ)とMistletoe株式会社(ファウンダー:孫泰蔵)をパートナーとして設立。

ソフトバンクCEOの孫正義さんの弟、孫泰蔵さんがファウンダーとして入っていることから、お金は持ってそうです。



株式会社ディープコア

株式会社ディープコア
http://deepcore.jp

こちらも、アドバイザーメンバーに、孫泰蔵さんと、東大教授でAIの第一人者の松尾豊さんが加わっています。

強力な布陣ですね。

DEEPCORE、最大60億円規模のAIスタートアップ特化ファンドを設立
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000031481.html

すでに、ベンチャーファンドが始まっています。60億円という巨額が動く! 世界的な規模から見ればまだ小さいですが、日本では、かなり大がかりな仕組みと言えます。

AI(人工知能)系のベンチャーばかりが注目されますが、AI以外にも社会を支える重要な技術が沢山あります。地道に未来を切り開くベンチャーに注目が集まり、お金も集まる仕組みが求められています。

みんなで、ワイワイやりながら、楽しい未来をつくりたいですね。

ではでは。




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