NTTがなんともセンセーショナルな発表をしています。「IOWN(アイオン)構想」とはスマホ「5G」の次「6G」とか、スマホが1年間充電不要とか、そういう小っちゃい話ではないです。もっとどデカい、オールフォトニクスという長期構想です。
スマホ1年間充電不要に? 次世代光通信システムで大幅省電力化 NTT、ソニー、インテルが連携
出典:https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1911/01/news143.html
ニュース記事を読んでも、さっぱり原理がわかりません。電力効率が約100倍なので、今のスマホが数日バッテリー持つとすると、1年持つ計算になるとか。ほんとかいな??
半導体の電力効率が100倍になっても、結局電波出している段階で、エネルギーは必要になるわけだし。そんなに都合よく、スマホ全体のバッテリー時間が長くなるわけじゃないです。なにか、勘違いしてますね。
そんなこんなで、今日はニュースの深読みをしてみたいと思います。こんにちは。元オタク少年のshigeです。
発表されているのは、光信号で計算処理ができる半導体チップの開発の話。ニュース記事がよくわからないときは、オリジナルの発表を探します。これ、サーチャーの鉄則! (おいおい、shigeって、サーチャーだったんだっけ??)
NTT、インテル(Intel)、ソニー(SONY)のグローバルフォーラム(Global Forum)は2030年を目標の共同開発
出典(プレスリリース)NTT、インテル、ソニーがコミュニケーションの未来を目指して国際的なフォーラム「Innovative Optical and Wireless Network (IOWN) Global Forum」を設立
■ 先進的な光電融合技術を活用したフォトニクス関連研究開発
■ 分散コンピューティング関連研究開発
■ スマートな世界をつくるユースケース・ベストプラクティスとそれを実現する研究開発2019年10月31日
日本電信電話株式会社
インテル コーポレーション
ソニー株式会社
https://www.ntt.co.jp/news2019/1910/191031a.html
かなり広範囲で、ふわっとした内容です。
先進的なフォトニクス半導体(オールフォトニクス信号処理)の開発
特長的なのは、光電融合技術を活用したフォトニクス関連研究開発、オールフォトニクス半導体ですね。光信号と電気信号を変換するのは、今でもできますが、全ての信号処理を光信号のまま行う方式はまだ開発途上の技術。そんなこと言っても、一般庶民にはよくわからないし、当分先の話なので、気にしなくてOKです。
光と電気を変換するときにエネルギーが失われるし、遅くなるので、光のまま処理した方がいいよね。という程度で、ふ~んっと思ってください。昔から、光コンピューターって、夢のような話がありました。原理的には出来そうなんだけど、既存のシリコン型半導体の性能が凄い勢いで上がっていたので、あまり注目されませんでした。シリコン型半導体の性能限界が見えてきて、おそらくあと10年くらいすると、もう性能が上がらないという状況にもなりかねない。そう言われ続けて、もう10年くらい経つので、本当の限界は、よくわかっていないのですが。
そろそろ次の技術を、というのは、時代が変化する頃に出て来る話です。
NTTも半導体開発では老舗
NTTって、半導体を開発している感じがしないかもしれませんが、さすが日本一の通信会社だけあって、半導体開発も研究ベースで進めています。他のメーカーがやらないような基礎研究を淡々と進めています。余裕の研究開発って感じです。
ソニー(SONY)も世界的な半導体メーカー
今や、ソニー(SONY)も生き残った半導体メーカー。有名なのはCCDという、カメラの目の部分、撮像素子とか、CCDセンサーとか呼ばれる部分。もうCCDセンサーを作れるメーカーって、世界に数社しかない。
光を電気に変えるCCDセンサーの技術は、フォトニクス半導体にも活かされることでしょう。おそらく。そうであってほしい。かなり願望に近いかな。そういう可能性を感じて、苦しくても巨大投資を続けているのかも。
「IOWN構想」―インターネットの先へ(NTT出版)本も出る
IOWN構想の解説本も出版されます。これを読めば、IOWN構想はバッチリですね。電気の世界から、光の世界へ移ることで、世界がどのように変わるか、力説しているようです。IOWN構想の本家、NTTの人が書いてます。
スマートテクノロジーがナチュラルに登場するとか、かなりポエムな感じです。いいんです。10年後なんて、誰にもわかりません。ポエムなんです。おじさんたちの夢。若い人が共感するかどうかなんて、それこそ分かりません~、残念~!
目次
はじめに IOWNの時代へ――澤田純
第1章 IOWN構想とは何か――川添雄彦
第2章 IOWNの鍵となる11のテクノロジーと3つの基盤
第3章 IOWN構想が開く未来社会――井伊基之
第4章 IOWNと6つの産業ユースケース
第5章 11のテクノロジーとNTTのケーススタディ
01 人工知能
02 仮想現実/拡張現実
03 ヒューマン・マシン・インターフェース
04 セキュリティ
05 情報処理基盤
06 ネットワーク
07 エネルギー
08 量子コンピューティング
09 バイオメディカル
10 先端素材
11 アディティブ・マニュファクチャリング
「デジタルツインコンピューティング構想」(Digital Twin Computing、DTC)
デジタルツインって、そもそも初めて聞く言葉ですが、NTTでは既知の言葉になっているようです。デジタルの世界と人間の世界を全てデジタル化して繋ぐ。みたいな感じかな。
世間一般のデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation、DX)との違いがよくわかりませんが。多分、究極的には同じところを目指すことになりそうです。NTTの「デジタルツインコンピューティング構想」では、より人間中心の考え方、安心・安全・快適が重視されるようです。
出典:実世界を反映した高精度デジタル情報の掛け合わせによる革新的サービスを創出する「デジタルツインコンピューティング構想」を策定
~多様な仮想世界の合成により未来社会を創りだすイノベーションプラットフォーム~
https://www.ntt.co.jp/news2019/1906/190610a.html私たちが目指す「デジタルツインコンピューティング(Digital Twin Computing、以下DTC)」とは、このデジタルツインを大きく発展させ、実世界を表す多くのデジタルツインに対して交換・融合・複製・合成等の演算(デジタルツイン演算)を行うことにより、モノ・ヒトのインタラクションをサイバー空間上で自由自在に再現・試行可能とする新たな計算パラダイムです。
DTCでは、デジタル化される対象をモノだけではなくヒトにも拡張し、さらにデジタルツイン演算により、サイバー空間上でモノやヒト同士の高度かつリアルタイムなインタラクションが可能となることが大きな特長です。
工場などの中で使われるデジタルデータの話や、人間の感性や感情にかかわるデータの話も出ています。ともかく、人間の活動により多くのデータが使われるようになる、というお話のようです。
NTT R&Dフォーラム2019 テーマは 「What’s IOWN?- Change the World-」
NTTの年1回の大イベント、NTT R&Dフォーラム2019でも大々的にIOWNが取り上げられています。
【NTT R&Dフォーラム2019取材】
NTT武蔵野研究開発センタで開催されるNTT R&Dフォーラムを取材。最新技術が展示されています!
今年のテーマは 「What's IOWN?- Change the World-」
#NTT#IOWN#SAKURA TV pic.twitter.com/cGsatCdFix— 詩麻 絢子/Ayako Shima (@mef_shimaayako) November 11, 2019
\NTT R&Dフォーラム2019開催!(11/14-15)/
”What’s IOWN? –Change the World”フォトニクス技術をベースに持続的成長を支える情報流通基盤をめざす「IOWN (Innovative Optical and Wireless Network)」構想のもと、最新の研究成果を分かりやすくご紹介します。https://t.co/pOfvUMkO9H pic.twitter.com/V0GSyrO1hE
— NTT広報室 (@NTTPR) November 8, 2019
本日はNTT R&Dフォーラム2019でNTTが得意とする #光技術 をベースとした、大容量、低遅延、低消費電力の新ネットワーク構想や、量子コンピュータと同様の高速演算技術を視察。本日の視察も参考に #ポスト5G の半導体・情報通信システムの国家プロジェクトの具体化を補正予算による対応含め検討。 pic.twitter.com/Pn1BLoraB7
— 西村 やすとし (@nishy03) November 13, 2019
「IOWN Global Forum(アイオン グローバルフォーラム)」に65社が参加を検討中
当初立ち上げはNTT、SONY(ソニー)、Intel(インテル)の3社でしたが、メンバーはもっと増やす方向性のようです。
NTTの澤田純社長は13日、2020年春に米インテル、ソニーと設立する「IOWN(アイオン)グローバルフォーラム」に65社が参加を検討していることを明らかにした。米マイクロソフトのほか、仏オレンジ、米ベライゾン、台湾の中華電信など海外企業が55社を占める。通信網から端末まで光を使うことで膨大なデータを迅速処理するIOWN構想に賛同する多数のグローバル企業が設立時に名を連ねそうだ。(取材=編集委員・水嶋真人)
https://newswitch.jp/p/20014
いわゆるコンソーシアム型の団体ですね。来るもの拒まず、かな。選別はあるでしょうが、日本だけでなく、世界のトップ企業が集結しそうな雰囲気です。
IOWN(アイオン)普及したら、どんな状況になるのか? NTTのコンセプトビデオ
NTTのコンセプトビデオが面白いです。例えば渋滞解消。高速の無線通信で単純に自動運転が実現されるだけでなく、全体最適が可能。
交差点では、どのタイミングで車が交差点を通過するか、1台1台を全体でコントロールする。だから、絶対ぶつからない。凄いスピードで交差点に入ってきて、ぶつからずに車の間を対向車線の車が通り過ぎていく。
開始 00:39 あたりから、信号待ちで渋滞が発生する様子
IOWN(アイオン)で全体最適されて、対向車線から止まらずに、すり抜けていく様子
開始 00:59 あたりから、IOWN(アイオン)で全体最適されて、対向車線から止まらずに、すり抜けていく様子が。凄いけど。恐怖!!
映像で見ると、とんでもなくスリリング。絶対安全と言われても、乗りたくないな。この車の中に人が乗っていたら、恐怖でしかない!!
「5G」の次「6G」実現は2030年頃なのか!?
NTT、次々世代「6G」でインテルやソニーと連携
出典:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51617860R31C19A0EAF000/
気になるのは、今年から2020年にかけて始まるスマホの「5G」サービスの次「6G」が2030年頃というところ。そんな先なんですね。10年も大きな変化がないのは、寂しいかも。
でも、「6G」という単語を使っているのは、日経新聞なんですよね。元のプレスリリースには、「6G」なんて、一切出てこない。煽り記事と思っていいです。といいながら、shigeも便乗して記事を書いているわけですが。すんませ~ん。
NTT、インテル(Intel)、ソニー(SONY)という組み合わせが面白かったので、取り上げてみました。海外の先行事例が多い中、日本もがんばってます。また、進展があったら紹介しますね。
ではでは~!