NHK 人間ってナンだ?超AI入門
2019年5月8日放送分より
AI(人工知能)の進化、事例から、人間って何なのか?深掘りする番組です。
今回のテーマは、「AI × お金を使う」
店舗や広告など、人間の消費行動にまつわる様々なシーンで、AIがどんな風に使われているかを見ていきます。
ちょっと、その前に、
■AIが出した結論を、どう信じるか問題
現状では、AIが出した結論だけで、物事が進むわけではありません。大抵の場合、人間が介在して、最終的な判断をしています。つまり、誰が責任を持つか問題があります。
人間の判断が入ると結局、人間の処理速度がボトルネックになってしまう。
でも、AIは責任を取れないので、仕方なく人間が介在して、スピードを落としているのが現実です。そこを逆手にとって、ある意味無責任にAIに任せてしまえば、ものすごくスピードアップする可能性があります。ビジネスを一変させる人が、いつかは出て来るでしょう。
そのとき、意外と大きな問題が起きず、そのまま大成功するか、とんでもない問題を引き起こして、市場から消えるか。それは、誰にもわからない。でも、何人かがやってしまえば、その内1人くらいは成功しそうです。失敗したときのリスクを誰が取るかの問題ですね。
■謝罪ロボットって、どうなの?
謝罪ロボットって、ちょっと難しそうですよね。
ロボットに謝られると、さらに怒りに火を注ぐことに…
責任者、出てこい!みたいな
確かに、ロボットに謝られても、納得のしようがない感じはします。でも、ロボットだと気づかれないような姿で、ひたすら、手を変え品を変え、迫真の演技で土下座して謝られたら、人間と勘違いして、許してしまうかもしれません。そこまで、しなくていいよ。みたいな。。。
結局、ひたすら謝るだけのムダな作業は、AI・ロボットの得意技なんじゃないでしょうか。
問題は、ロボットだとバレないようにすることです。バレたら大変なことになるので、要注意ですね。
それにしても、謝罪ロボットって、面白いテーマですね。私は、絶対実現すると思います。意外と男性の思考は単純なので、論理的につじつまが合っていれば、あっさり騙される気がします。
■謝罪はムリでは、お店番はAIにもできます!
ここからが、本題。
無人店舗(モノタロウ)の事例を取り上げています。店内の天井に多数のカメラがあり、これらがAIと繋がっています。商品を取って、そのまま店外に出ると、きちんと課金されるというもの。店員もレジもない。Amazon Go みたいな無人店舗は日本でも始まっているんですね。
万引きを監視するのはもちろん、お客様がどういう商品に興味を持ったかなど、マーケティング分析に使えるデータも取得できます。店員を減らしながら、商品の入れ替えなど、売上を上げることにも活用できます。
カメラの映像から、まず人を検出し、人の動きを追いかけます。次に、人が商品を手に取ったとき、何の商品を取ったのかを認識します。
誰が、何の商品を手に取ったか、何秒持った後に、その商品を戻したか。この時間は、商品を買うかどうか、迷った時間ということで、マーケティング上重要なデータになります。なぜ、買われなかった理由を考える材料に使い、商品開発に役立てます。
人間のベテラン店長なら、こういったお客様の動きを見て、頻繁に商品の配置を変えたりします。でも、ベテラン店長を無限に増やすのはムリ。AIなら24時間365日休みなく働きつづけられるので、ベテラン店長以上の活躍ができそうです。
■無人店舗はまだ、商品を無断で持ち出しているような罪悪感が強い
利用者の視点で、無人店舗を体験した人の感想が、とても面白かったです。
お金を払わずにお店を出るのは、慣れていないので、凄く違和感がある
さらに、多くのカメラで監視されている感じが、凄くイヤ
何も悪いことをしていないのに、違法なことをしている感じがする、という体験者に
モノを取ったときに、効果音を出すといいかもしれない
というアイデアが出ました。いいですね、これ。ちゃんとモノを取ったことをAIが認識していますよ、というサイン。そのまま持ち出しても、ちゃんと課金するので安心して、持って行ってね。というように、目には見えないけど、バーチャル店員がいて、会話しているような気持ちになれるかもしれません。
やはり、無言は怖いですね。ピコ~ンという音だけでも、相互に「わかってますよ」という合図が送れる。そういえば、SUICAでお買い物するときも、シャリ~ンと音がしますね。こんな、ちょっとしたことが一般に普及するためのカギかもしれません。
さらに、無人店舗でお買い物体験した人のコメントで、
生活用品を買っているところを、AIで監視されるのは、イヤ
絶対、個人と紐づけられるじゃないですか
というのが印象的でした。そんなことを気にするんだな、という感じです。
当然、AIで処理するときは、個人情報を匿名化して扱う筈なんです。そいういうのは、仕組みを作る側としては当然考慮することなんですが、信じてもらえていないということですね。消費者が安心してお買い物するために、何が必要なのか。そういった心理的ハードルを越える、ちょっとしたアイデアが重要なんでしょうね。
■テレビCMの広告効果を予測するAI
少し、話題は変わって、テレビCMを放送する前に、どのくらいの広告効果があるかを予め予測するAIが開発されているそうです。
使っているのは、画像認識のディープラーニング。過去10年分の約1万件のアンケート結果を入力して、教師あり学習をさせます。予測対象のCM画像と、学習済みの画像の特徴を照らし合わせて、広告効果を予測します。
このシステムでは、
- 認知度
- 好意度
- 購入喚起度
- 興味関心
の4つの指標で、入力画像を評価します。つまり、人間が惹きつけられる要素を数値化しています。
この予測システムは、CMのストーリー性は評価できません。それでも、CMの中のシーンごとに、どれだけ魅力的で、目を惹く画像が含まれているかを評価するのは、現実的でいいアイデアです。
今後は、個人ごとの趣味に合わせて評価することも出来そう。
という意見に対して
でも、あまり自分好みに合わせられて、同じようなコンテンツばかり出てきても、つまらない。
という意見も出て、そもそも、「いいCM」とは何だろう?と考えてしまいました。
広告主にとっての「いいCM」と、消費者にとっての「いいCM」は、当然違うわけです。色々な人達の利害関係を調整して、いいバランスで折り合いをつける。そんなAIが実現できたら、本当に人間は不要になってしまいます。
まだ、そんなレベルには達していないので、もうしばらく人間にも出番がありそうです。よかった。
では、また。