みなさんは「エッジAI」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
AI(えーあい、エーアイ)とは、人工知能のこと。人間のように色々なものを認識したり、判断したり、できます。AIのの新しい動き、トレンドで注目したいのが「エッジAI」です。
では「エッジ」って何? という方にもわかりやすく、最近話題になっている「エッジAI(えーあい、エーアイ)」について、やさしくお伝えします。
■「エッジAI」とは?
エッジAIの「エッジ」とは、「端末側」を意味しています。
今までのAIは、クラウドで処理されることが多かった。クラウドといえば、AmazonとかGoogleとか、ネットで使える便利なサービス。今までは、ネットの向こう側でAI(人工知能)の処理が行われていたのです。
クラウド側ではなく、端末側で処理されるAIのことを「エッジAI」と呼びます。
■「エッジAI」とカメラの相性 そのメリットとは?
では、「エッジAI」のメリットとはどんなものでしょうか。例えば、カメラと一緒に使われる例を考えてみましょう。カメラ画像をその場で処理して、探していたある画像が見つかったら、その画像だけクラウドへ転送します。顔認証などを思い浮かべると、わかりやすいと思います。
全ての画像をクラウドへ転送しようとすると、通信量が膨大になり、通信費がかさみます。5G(ふぁいぶ・じー、次世代の携帯電話・スマホの通信規格)の時代でも、カメラで撮った動画をすべてクラウドに転送するのは現実的ではありません。カメラの数もカメラの画素数もどんどん増えているので、全てをクラウドで処理することはできないのです。
そこで「エッジAI」の登場です。端末側で処理するので、データ量の制限はありません。集めたデータを全て使って、その場でAI処理することができます。膨大なデータを扱えるので、AIの精度も向上します。と~っても、賢いAI(人工知能)が出来上がるのです。
■「エッジAI」を加速する技術とは? CPUチップ、GPU、AIエンジンの未来
では今、「エッジAI」が話題になっているのは、どういう理由からでしょうか?今まではクラウド側で処理されていたものが、エッジ(端末側)で処理される。その背景とは?
実は、みなさんがお使いのスマホ(iPhoneなどのスマートフォン)などに搭載されているチップの進化が大きく影響しているのです。最新型のスマホには「AIエンジン」などと呼ばれるAI専用の処理回路が搭載されています。これは、スマホの頭脳と言われるCPUと同じチップの中に搭載されています。
チップとは半導体。頭脳にあたるCPUや、データを記憶するメモリーも全て半導体チップです。この中で、CPUチップには、GPUと呼ばれる機能も搭載されています。GPUとは画像データを専門に扱う部分です。このGPUが進化して、AI処理もできるようになりました。最近では、AIに特化した回路も開発され、CPU+GPU+AIエンジン、といった構成のチップも登場しています。
数あるチップの中で「AIエンジン」は一番早い速度で進化しています。CPUやGPUより、進化のスピードが速いのです。最新のiPhoneに搭載されいてる「A12 Bionic」チップには1年前のモデルから8倍もAI処理性能を向上させています。1秒間に5兆回もAI処理ができる。ちょっとピンと来ませんが、凄いんです!
■「エッジAI」の事例と課題
「エッジAI」は画像認識、顔認証など、カメラとセットで使われることが多い。さらに、自動車に搭載される自動運転もエッジAIの一種なのです。
ドローンにエッジAIを搭載して、完全に自動で飛び回るドローンも研究されています。
また、工場でも大活躍。生産ラインに多数配置されたカメラやセンサーからの情報を統合し、生産ラインの異常を検出したり、不良品をいち早く見つけて取り除くこともできます。
■「エッジAI」が注目される理由とは?
色々凄そうな「エッジAI」ですが、今注目される理由は何でしょうか?
AIが進化するためには、大量のデータが欠かせません。大量データをそのまま使って機械学習させるには、エッジ(端末側)で処理して、学習結果だけをクラウドへ転送するのが理想です。
AI(人工知能)の開発競争はますます熾烈になっています。各社はエッジ(端末側)のチップも自社で囲い込み、大量データを自社でコントロールできるようにしたいのです。そうすることで、AI競争で優位に立つ戦略なのです。
「エッジAI」を普及させることで、AIの学習効率は格段に上がります。
ますます加速するAI競争から、目が離せませんね。
ではでは。